小説

【十三番目の人格 ISOLA】ネタバレありの感想を思うままに書きます!

この記事を読むのに必要な時間は約 14 分2秒です。

こんばんは。ことのは。(@kotonohaho)です。

今日は貴志祐介さんの小説

「十三番目の人格-ISOLA-」の

感想を書いていきます!

この記事を読んでほしいのはこんな人!

●貴志祐介さんが好きな人

●ゾワッと来る恐怖が好きな人

●心理学に興味のある人

あらすじ

人の強い感情を読み取ることができる

エンパスという能力を持つ賀茂由香里。

 

その能力を活かして阪神大震災で

被災した人たちのボランティアで

心のケアをしていた。

 

ある日、森谷千尋という少女と出会う。

ボランティアとして、話をしていく中で

由香里は、千尋が多重人格であることに気づく。

 

そんな千尋を救おうと由香里は人格たちと

会話をして打ち解けていくが

十三番目の人格の出現に驚き、恐怖する。

 

身も凍るような十三番目の人格の正体、

そして結末は?

人の感情を読み取るエンパス

エンパスとは人の感情を読み取る力のこと。

エンパシー(empathy)。

 

共感能力が高く、人の辛さや喜び、悲しみといった

感情を敏感に察知してしまい、まるで自分のことの

ように受け止める。

 

由香里はこの能力のために、強い感情(主にネガティブ)

感じ取ってしまうため、いわば人酔いのような

症状を起こして、気分が悪くなってしまうことも。

 

人の感情を勝手に読み取ってしまうので

子供のころは、理解が得られずに家族とも

縁を切っている。

 

中学生の由香里は共感能力が異常な発達をして

一歩でも外に出ようとするだけで

人々のたくさんの感情が入り込んでしまうように

なっていた。

 

学校に通えなくなった由香里は、家族から

厄介者扱いされていることを知り、

家出を決意。

 

それからずっと1人で生きてきた由香里が

自分の無力さを噛みしめながらも

千尋やその人格と向き合っていく。

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千尋の中の人格たち

① 千尋

元々の主人格。17歳。

ひどく引っ込み思案であり、苦痛から

逃避しようとする行動が顕著。

 

普段は意識の奥に沈み、ほとんど

現れない。

② 瞭子

「あきらか」の意。年齢は20歳前後。

千尋は彼女を何度か「保護天使」と

呼んでいる。

 

ISH(内部の助力者)となる可能性あり?

非常に頭がよく、洞察力に優れている。

明眸。利発そうな顔つき。

 

アナウンサーのように明晰な発音で話す。

一方で冷たい印象もある。

③ 陶子

名前の意味は、「人を教え導く」

年齢は千尋と同じ。

 

人格全体を陶冶し、向上させようとする人格。

外交的で、明るい表情。

 

年齢に似合わない落ち着き。

どこか声優を思わせる、感情豊かな声。

ただし、押しつけがましさも感じられる。

④ 瞳

「無心に見るさま、無知なさま」

5、6歳の童女。

 

無垢、イノセンスの象徴か?

交通事故の前に戻りたいという願望の

人格化?

 

幼女のような表情。

ふわふわと語尾を呑み込むようなしゃべり方。

⑤ 幸生

男の子。14歳。

 

「幸生」の熟語

「なまけて、偶然の幸運で生きている」

無力感の人格?眠そうな表情。

 

冷笑的、投げやりなしゃべり方。

⑥ 陽子

「いつわる」の意。千尋と同年齢。

 

饒舌だが、しばしば嘘をつくことがある。

狡そうな顔つき。

 

視線が落ち着かず、黒目がたえず左右に

振れている。

⑦ 殊理

生物を消し去るための人格?

対象は不明。年齢も不明。

 

「迫害者」である可能性も。

まったく表情がない。

 

顔色は激怒による蒼白。無口。

⑧ 忍

性別・年齢不明。

「こらえる、がまんする」と「むごい」の

二つの意味を持つ。

 

辛い状況を堪え忍ぶための人格か。

表情には乏しい。

 

瞭子によれば、非常に大きな肉体的な苦痛にも

耐えられるという。

⑨ 創

男の子。「きず」「そこなう」の意。

年齢12歳。

 

トラウマに対処するための人格、または

喪の作業のための人格?

 

常に伏し目がちで、うつろな目。

無口。弱々しい声。

⑩ 悠子

ホスト人格。千尋と同年齢。

学校と家庭で、大部分の時間を分担している。

 

「うれえる」。内気で自己主張ができない。

無口。

⑪ 満

男の子。「おごりたかぶる」「あざむく」

年齢16歳。傷ついたプライドを庇うための人格?

 

人を見下したような目。歪んだ唇。

人を小馬鹿にしたような口調。

⑫ 範子

「範」の字は「のり、てほん」の意だが

面接した印象とは大きな乖離がある。

 

年齢不明。冷たい異様な笑い。

ほとんど言語能力がない?

 

瞭子のなかだちにより出現後

短時間で引っこんでしまう。

以後、現れず。

⑬ 磯良

最も新しい人格で、阪神大震災の

数日後に現れる。

 

地震によるショック、頭部への負傷、

入院したことに関係か?

 

この人格についてのみ、なぜか新字源ではなく

雨月物語の「吉備津の釜」が出典らしい。

 

性格に与えられた意味は不明。

年齢不明。上目遣いの三白眼でまったく

瞬きをしない。

 

きわめて無口であるため当初は言語能力に

乏しいと思われたが、失語症検査日本語版を

実施したところ、瞭子をしのぐ語彙を持つという

結果が出る。

 

セッションの途中から、一切の心理テストを拒否。

その後は現れていない。

※「十三番目の人格-ISOLA」より引用。

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感想(ネタバレあり)

この小説の舞台は神戸。

関西圏の方にはなじみのある

地名が出てくると思います。

 

由香里は、梅田のビジネスホテル

泊まっていて、阪神電車や甲子園という

地元に密着した言葉がたくさん出てくるので

その辺も楽しめると思います。

 

阪神大震災で被災した方のボランティアを

する由香里。

 

由香里自身は、目立った行動はしたくないと

思っているけど、エンパシーという能力のため

どうしても目立ってしまいます。

 

確かにカウンセリングや人の話し相手になるときに

相手の気持ちがわかったら

普通に話を聞くよりも、心に

寄り添うことができますよね。

 

そんな由香里は年齢に見合わず

落ち着いた行動ができる人。

 

やっぱりエンパシーという能力を

持っているために経験した

辛いこと、苦しいことが

由香里を落ち着いた大人の考えが

できるようになってしまったんでしょうね。

 

常に人の感情が流れ込んでくることで

疲れきっていた由香里にとって

人生や日常は辛く苦しいものでしか

なかったんですよね、きっと。

 

そんな由香里にもエンパシーの能力を

一時的にでもおさえる方法が見つかって

少しずつ落ち着きを取り戻していったのは

読んでいて、自分のことのように

嬉しくなりました。

 

ボランティアをしていて、由香里は

阪神大震災でケガをして入院していた

森谷千尋と出会います。

 

最初は普通に喋っていたものの

由香里のエンパシーにより

千尋が多重人格であることに

気づいた由香里は

千尋の学校の臨床心理士

野村浩子と一緒に

千尋の人格を統合することに。

 

野村浩子は臨床心理士で心理テストが

専攻ということもあって

千尋に対してたくさんの心理テストを

行なっています。

●日本版ミネソタ多重人格目録

●矢田部・ギルフォード性格検査

●ロールシャッハテスト

●不安傾向診断検査

●ソンディ・テスト

●絵画統覚検査

●文章完成テスト

●内田クレベリン精神作業検査

●鈴木・ビネー式知能検査

などなど、千尋に対してこれだけの

心理テストを、しかも人格ごとに

検査しているので千尋のファイルは

すごいことになっています。

 

中でもロールシャッハテスト

バウムテストは比較的、知っている方が

多いと思います。

 

ロールシャッハテスト

紙に落ちているインクのシミから

どんな絵を想像するかを見るテスト。

●興味・関心の内容

●欲求や情緒の内容

●抱えている葛藤や問題の内容

などがわかるテストです。

 

無意識が投影されやすいので

思考過程や障がいを推定するものですね。

 

バウムテストは

「一本の実のなる木を描いてください」

指示をされ、被験者は紙に

自由に木を描いていきます。

 

この指示は、指示を出す人によって

指示の仕方が変わったりするので

興味深いですね。

 

試験する側の人間の心理というものも

分析できたらかなり興味深い

内容になりそうですね。

 

切断された枝が描かれていたり

幹の傷などがあったら

精神的外傷を受けた可能性が高く

その高さから、精神的外傷を

受けた年齢がわかったりと

一本の木からわかる情報は

たくさんあります。

 

私も、心理学を勉強していたこともあって

すごく知っている内容がたくさん出てくるので

心理学を学んでいる方には

なじみのある言葉・知識が

たくさん出てきますので

その視点から読んでみるのも

いいですね。

真部との出会い

千尋の多重人格を治すため

セラピーを続けていた由香里は

千尋に興味を持っていた研究者

高野弥生という人物を知ります。

 

高野弥生は千尋をモルモットのように

扱ったと野村浩子はいい印象は

持っていませんでした。

 

そんな高野弥生について調べていると

弥生と一緒に研究していた

真部和彦と出会います。

 

真部との出会いがほんの少しだけ

一瞬だけでも由香里にとって

幸せな時間が過ごせたので

そのシーンだけは、年齢相応の

若い女性の反応で

読んでいて嬉しくなりました。

 

エンパスという能力に苦しんできた

由香里を救ってくれた唯一の人ですね。

真部さんは。

 

真部に食事に誘われた由香里は

このままずっと、普通の人間として

生活できたらいいだろうな、と思った。

毎晩薬をのんでさえいれば、あの

呪われた能力をずっと封印しておくこともできる。

今までの自分には、エンパシー以外に

存在証明になるものがなかった。

だが、もし人並みに恋をして、

結婚することが可能であるなら。

そうだったなら、永遠にエンパシーを

捨ててもいいと思った。

と思うぐらい、真部は

由香里の人生の中で

初めてその能力を知った上で

好きだと言ってくれた

人なんだと思います。

 

男性と付き合ったことのない

由香里がその能力を捨ててでも

真部と一緒になりたいと思った

その気持ちの揺れ動きが

伝わってきて嬉しくなりました。

 

エンパシーであるが故に

人の心はたくさん癒してきたけれど

由香里の心を癒してくれる人は

誰もいなかった。という一文は

すごく心に刺さる文章ですね。

 

このまま真部とハッピーな結末!になって

ほしいところですが、その満たされた気持ちが

長く続かないのは、貴志祐介さんワールドだと

思いますね。

 

高野弥生は真部と一緒に

幽体離脱の実験をしていました。

 

高野弥生みずからが被験者となり

肉体から離れての実験。

 

阪神大震災当日も、高野弥生は

肉体から離れて精神体で

さまよっていました。

 

そんな中、地震が起こり

高野弥生の肉体は消滅。

 

行き場をなくした弥生の精神体は

千尋の心の中に新たな居場所

見つけます。

 

それが千尋の中の十三番目の人格

磯良の正体です。

 

復讐心に燃えた弥生は

千尋の体を使って復讐をします。

 

弥生は真部に対して復讐しようとしますが

最後の最後、真部は

真部自身の体の中に入るように

弥生に持ちかけます。

 

それに喜んだ弥生は

真部の体の中に入り込み

真部と一つになりました。

 

その状況を見ていた由香里は

すごくショックを受けます。

 

真部は由香里が好きだし

由香里も真部となら・・・と

思っていたのに

最終的には弥生と一緒になってしまって。

 

真部の本心がどこにあったのか

気になりますね。

弥生の復讐に由香里が巻き込まれないように

自分の体を差し出して守ろうとしたのか

弥生を見捨てた自責の念があったから

弥生に居場所を作ってあげたのか。

 

結局は真部と一緒になれなかった

由香里にもいつか幸せになってほしいですね。

 

千尋のその後

一連の事件が解決したあと、

千尋の人格は一時、200以上(!)にまで分裂。

 

それが治療の甲斐あって元の

13にまで統合されました。

 

このままいけば全ての人格は完全に

統合して完全な人格を作ってくれる

段階までにきていました。

 

しかし・・・

磯良の持っていた非人間的な冷酷さと

復讐への意志がほかの人格すべてに感染。

 

どんなに治療をして、人格を一つに

できたとしても最終的に

残るのは凶悪な復讐に燃えた人間にしか

ならないという、救いようのない結末。

 

磯良さえ、千尋の体内に入らなければ

元の穏やかな千尋に戻れただろうに

十三番目の人格が、復讐に燃えた

人間であったがために

千尋にもそれが伝染してしまうという

悲しい結末。

 

人の精神、思考は割といとも簡単と

人に移っていってしまうものなのかもですね。

エンパシーである由香里が

人の感情の影響を受けてしまったように。

まとめ

かなり長くなってしまいましたが

貴志祐介さん好きな方、

十三番目の人格を読んだことが

ある方にぜひとも読んでほしいです。

 

ハッピーエンドでは終わらない後味の悪さも

貴志祐介さんならではだと思います。

 

この機会に改めて読み直してみてくださいね^^

それでは最後までお読みいただきありがとうございました。

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