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【十二国記】祥瓊、陽子、鈴を襲う苦悩と苦難が辛くも心に響く作品【感想】

この記事を読むのに必要な時間は約 12 分48秒です。

こんばんは。ことのは。です。

今日は十二国記の感想をお届けするシリーズです^^

今日書いていくのは

「風の万里 黎明の空(上)」です♪

 

十二国記シリーズは読んでてすごくおもしろいなって

思うんですが、この「風の万里 黎明の空」

かなり心に響いてくる小説ですね。

 

感動するとかじゃなくて、登場人物の苦悩や苦難

描かれていて心臓を鷲掴みにされたような

痛みを感じることが出来ました。

 

読んでてすごく苦しいなって思ったんですが

自分自身と重なる部分もあって

かなり引き込まれました。

 

やっぱり小説に関わらず音楽やその他の作品には

ある程度の「痛み」が表現されている方が

心を揺さぶられると思っているので

そういう作品はすごく痛いのに

惹きつけられる不思議なパワーがあると思っています^^

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「風の万里 黎明の空」のあらすじ

人は、自分の悲しみのために涙する。

陽子は、慶国の玉座に就きながらも役割を果たせず

女王ゆえ信頼を得られぬ己に苦悩していた。

 

祥瓊は、芳国国王である父が簒奪者に消され

平穏な暮らしを失くし哭いていた。

 

そして鈴は、蓬莱から辿り着いた才国で、

苦行を強いられていた。

 

それぞれの苦難を負う少女たちは、

葛藤と嫉妬と羨望を抱きながらも

幸福を信じて歩き出すのだがー。

「風の万里 黎明の空」の主な登場人物

鈴(すず)

明治時代、年季奉公に売られ、東京に向かう途中で

蝕に巻き込まれる。

虚海で溺れ、慶東国に辿り着いた鈴。

 

長い歳月が過ぎ、才国で下働きとして働く鈴だが

その扱いはかなり過酷なもの。

寝ているところを無理やり起こされ、掃除を言いつけられたり

危険な場所に行くように命じられたりと散々な扱い。

 

そんな扱いに耐えきれず逃げ出した鈴は

慶国の王、景王・陽子に会いたいと思い

慶を目指し、旅に出ることになる。

祥瓊(しょうけい)

芳国の王・健仲韃(けんちゅうたつ)の娘。

贅沢な暮らしをして何不自由なく育ってきたが

それ故に民がどんな暮らしをしているのかを知らず

公主として何もしようとしなかったため

謀反(臣下が君主にそむいて兵をおこすこと)により

両親も公主としての居場所も全てを失う。

 

貧しい生活をさせられて慶国に祥瓊と歳の変わらない

王・陽子が登極したことを知り、祥瓊が失った豊かな生活を

何の苦労もなく手に入れたと思い込み、陽子を恨むようになる。

陽子(ようし、ようこ)

元は蓬莱の生まれで慶国の麒麟・景麒によって

虚海を渡り、十二国へ連れてこられた。

 

自分が王であることを知り、戸惑う陽子だが

結局はそのまま慶国に残り、王として登極する。

 

 

漢字ではそのまま陽子だけど、蓬莱にいるときは

陽子(ようこ)、慶国の王としての名前は陽子(ようし)。

 

名前が変わるのっておもしろいなって思うし

陽子(ようし)って呼び方がかなりかっこいいと

思ってます^^

 

陽子(ようし)ってすごく王としての威厳があるなって

思います。

 

でも、蓬莱から来たばかりでいきなり

王になったので、自分の国どころか

十二国についてもわからないことばかりで

悩みながらも王としての役割を果たそうと

かなり頑張っています。

その姿勢がすごくかっこいいなぁと

凛とした印象が陽子にはありますね。

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鈴、祥瓊、陽子のそれぞれの苦悩

鈴の苦悩

鈴は、蝕に流され蓬莱から虚海を渡った海客。

流れ着いた才国で下僕として辛く苦しい生活を送る鈴。

 

そんな生活の中で慶国で新しく王として登極した

陽子のことを知り、会ってみたいと思う鈴。

 

その理由として、陽子も鈴と同じ蓬莱生まれで

あることから蓬莱の話をしたい、

同じ蓬莱生まれなら鈴の苦しさや辛さも

わかってくれるはず。と思う鈴。

「でも、きっと景王もそうだと思うんです。だって同じ海客だもの。

だから、お互いに慰め合ったりできると思うんです。

きっとお互いの気持ちがよくわかるから」

「お友達になれるかしら・・・・・・って」

そういう鈴に対し、采麟(才国の麒麟)は

それは・・・・・・どうかしら。

景王は蓬莱を懐かしく思ってはいないかもしれないわ。違う?」

「同じ蓬莱の生まれだから分かり合えるものかしら・・・・・・。

この国にも同じ国で生まれて憎み合っている人がいるもの・・・・・・。」

ここのこの2人の会話が好きですね。

采麟からすれば鈴の考えは甘いなってなってるんだろうけど

鈴の気持ちもわからなくはないなって。

 

鈴自身が辛く苦しい目にあっているし

蓬莱から来て右も左もわからない、言葉も通じない

そんな不安を乗り越えてきたからこそ

同じ海客である陽子とはわかりあえるだろうって

思ってしまうんだろうなって。

 

でも陽子は蓬莱から流されてきたときに

剣が見せた映像によって学校の友達が

実は陽子のことをどう思っていたのかとか

家の様子を見てかなり衝撃を受ける

場面がありました(月の影 影の海)

 

 

確かに最初は陽子も蓬莱に帰りたいと思っていたけど

そんな様子を見て、仲が良いと思っていた子が

実はそうじゃなかったんだと知った陽子は

こんな状態なら戻りたいとは思わないと言っています。

 

散々人に騙され裏切られ疑心暗鬼になってたかもしれないけど

それが陽子が出した答え。

 

鈴がしようとしていることは

同じ蓬莱生まれだからというだけで

陽子も鈴と同じように寂しいはず。辛いはず。と

鈴目線になってしまっていますね。

悪く言えば傷の舐め合いというか。

 

どうしても景王・陽子に会いたい鈴は

采麟から旅券や旅費を工面してもらい

慶国に向かうことに。

 

その旅の途中で一人の男の子と出会う。

その子供の名前は清秀。

 

旅の途中でのいい話し相手になるのかなって思ったけど

清秀は鈴に対してかなり辛い現実をつきつけます。

 

別に鈴を追い詰めようとか意地悪で言ってるんじゃなく

清秀的には鈴の「私だけが苦労している」

「私だけが辛い思いをしている」っていう

考え方が気になったんだろうなって。

 

清秀いわく鈴のようにいろんな理由で

元の場所や家に戻れなくなった人間は

いっぱいいるし、大なり小なり誰だって

辛い思いをしながらも生きているんだと。

 

これねー私的にはどっちの意見もわかるんですよね。

鈴の私はこんなにも辛い思いをした。っていうのも

わかるし、清秀の辛いのは鈴だけじゃないってのもわかるし。

 

鈴の目線でいえばあまりにも辛すぎて周りが

見えなくなってるんだろうし

私にもそういう時期があったからすごく

よくわかるんですよね。

 

そういうときって周りの人も何かしら抱えてたり

悩んでたりってことがわからなかったり

わかっていてもそれでも私の方が大変なんだって

かなりの独りよがりな考えに偏ってしまうんですよね。

 

今でこそ私はそうは考えなくなったし

今はかなり楽になってきているので

そういう被害妄想じみたことも考えなくなったから

鈴もこれからどんどんいろんなことを経験して

大人になっていけばそういう考えになるかもですね。

祥瓊の苦悩

祥瓊は王が斃された後、孤児を引き取る施設で

かなり過酷な生活を強いられていました。

 

たくさんの用事を言い渡され出来なければ

ご飯は抜きだったりと、王の娘として

公主として贅沢な暮らしをしていた祥瓊には

耐えられない生活でした。

 

ある日、公主であるということで

怒りを感じた民に命を狙われるも

ギリギリのところで助け出された祥瓊は

恭国に連れていかれそこで下僕として働くことに。

 

恭国の王である珠晶に辛く当たられ

珠晶の持ち物のかんざしや冠などの高価な物を

持ち出し逃げ出す祥瓊。

 

逃げ出した理由は祥瓊とあまり

歳の変わらない景王・陽子が

何の不自由もなく祥瓊が持っていたものを

手に入れ王として何不自由なく贅沢な

暮らしをしていると思ったから。

 

祥瓊と陽子には何の接点もないのに

私が持っていたものを奪いその地位を手に入れた

陽子を恨むようになります。

 

そして祥瓊はそんな陽子の立場や居場所を

奪おうと景王から玉座を簒奪することに。

 

やっぱり人って妬みが降り積もると

とんでもない考えに走ってしまうんですね。

 

陽子は全く関係がないし、本当逆恨みに

近いなぁと思いました。

 

そして祥瓊は景王の玉座を簒奪するべく

慶国へと向かいます。

 

そこでたまたま楽俊と出会います。

楽俊とは、陽子が十二国に来たばかりのころ

妖魔に襲われ怪我をしてかなり重傷だったところを

助けた陽子にとって命の恩人。

 

そんな楽俊と旅をすることになった祥瓊だが

恭王の持ち物を盗んだことがバレて

とっさにその持ち物は楽俊にもらったものだと

嘘をついて何の関係もない楽俊まで

祥瓊と一緒に捕まることに。

 

こうしてみると祥瓊ってかなり

自分勝手な印象を受けますね。

 

自分が助かるために周りを巻き込むという。

はっきりいってこのときは楽俊が

かなりかわいそうだなって思って

楽俊が罪に問われませんようにと

かなり読んでて思いました。

 

そんなきっかけで話をするようになった祥瓊と楽俊。

一緒に旅をしていて安い宿はいやだ!

硬い寝床はいやだとわがままばかり言う祥瓊に

楽俊はかなり困って(呆れて?)しまいます。

 

そう、祥瓊も鈴と同様、自分だけが辛い思いを

していると思っていたんですね。

 

だから立派な寝床じゃないといやだし

しっかりとした服じゃないといやだし

粗末なものを身につけたりしていることが

耐えられなかったんですね。

 

それに対して、楽俊は今、祥瓊がしているような経験は

貧しい民ならば誰もが経験しているということを伝えます。

 

誰もが祥瓊に辛く当たることに我慢できなかったけど

楽俊から言わせれば、公主であるにも関わらず

民がどんな生活をしているのか

王がしてきたことなどを知ろうともしなかった

だから誰もが祥瓊を恨んでいるんだと教える楽俊。

 

「月の影 影の海」を読んでいて思ったけど

やっぱり楽俊っていい奴なんですよね。

 

本来なら祥瓊に対して考え方が甘いとか

公主として何をしてきたのか。とか

諭す必要はないのに、ちゃんと教えてくれるし。

しかも祥瓊によって濡れ衣まで着せられてるのに。

 

鈴は清秀と、祥瓊は楽俊と出会うことで

その偏った考え方が少しでも改善されればいいなと思います。

景王・陽子

今回登場する鈴、祥瓊とは違って

苦悩や苦難を持ちつつも変に腐らず

今の自分にできることをして

しっかりと勉強もして少しでも

王としてふさわしくなれるように努力している陽子。

 

私の感想として、鈴と祥瓊は

今の境遇に対して不満を言うばかりで

自分から何かを変えようという気持ちが

ないという印象ですね。

 

それに対して陽子は自分に足りないもの

出来ないこと、苦手なことをしっかりと理解して

少しでもカバーできるようにしようという

気持ちがある。

 

それが鈴と祥瓊との違いなんだなって感じます。

でも鈴と祥瓊はまだまだ経験が足りないので

これから成長していく中で少しでも

そういう考え方を変えるということを

知っていければいいかなって思います。

 

さて、陽子は王として登極したものの

まだまだわからないことだらけ。

 

国のことも王として何をすればいいのか

どうすれば民は幸せになるのか。

 

まじめであるが故に悩む陽子に

まだまだ先は長いんだから

気楽にいけばいいという延麒。

 

とはいうものの、やっぱり王として

これからの方針などを聞かれても

今ひとつ決断できず麒麟である景麒や

臣下に呆れられている空気も感じていて

かなり思い悩んでいる様子。

 

そこで陽子が考えたのが街に降りて

普通に生活しながら国のことを

学ぼうと決断。

 

王自ら街に降りて普通に働き

里家(孤児や老人のための住居)で

身分を隠して生活するというのは

なかなか決断しにくいもの。

 

でも陽子は国のことを知るために

民の気持ちを理解するために

そういう道を選んだ、その姿勢が

かっこいいなって思います。

 

延麒の言うとおりある程度は

気楽に長い目で見て王として

やっていければいいんだろうけど

まじめな陽子はそれができなくて

少しでも国のことを知りたいっていう

向上心がすごいなって思うので

陽子にはその努力が報われる日が

来るといいなと思います♪

まとめ

今日は「風の万里 黎明の空」の

感想をお届けしました。

 

3人の女性にスポットを当てた

この小説はかなり辛く、心が痛くなります。

 

祥瓊と鈴はこれからたくさんの挫折を

経験するかもしれないけど

それを乗り越えていければと思っています。

 

陽子は王であるにもかかわらず

謙虚な少し自信なさげなところがあるけど、

王としても女性としてもまた

成長して陽子の苦悩が少しでも

減ればと思います。

それでは最後までお読みいただき

ありがとうございました。

 

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