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以前「新世界より上・中」について記事にして
いよいよクライマックスを迎える「新世界より(下)」。
より、過酷な戦いとその中で起こる悲しみ、苦しみ、痛み。
様々な経験をし乗り越えた先、人間はどのように変わり、成長していくのか?
迷い、怒り、悲しみ、苦しみ、たくさんの「痛み」を経験しながら
人間は何を感じ、何を思い、これから先も生きていくのか?
人間の弱さ、残酷さ、非道さを通じて1人でも多くの方が
体感していただければと思います。
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あらすじ
26歳になった早季と覚。全人学級を卒業後、無事に就職した2人。
バケネズミに危機感を抱きつつも、平凡な日常を送っていたが
バケネズミが突然襲われたことにより、本格的な戦争が始まる。
年に一度の夏祭りの日、屋台や花火を楽しむにぎやかな場面から一転、
バケネズミによる奇襲が開始される。
神の力・呪力を手に入れた人間の心の隙をつき、反撃してくるバケネズミ。
どんなに万能で無敵と思っていても、裏をかかれてしまえば、その力は
諸刃の剣となる。
辛い経験をしても乗り越え、喉元を過ぎ去れば
また同じ過ちを繰り返す人間が、変わることができるのか?
たくさんの人々を失いながらも、強く生きて最後まで戦い続ける、早季たちの運命はー。
☞貴志祐介さんの独特で不思議な世界観を体感したい人。
☞人間の「痛み」というテーマに興味のある人。
☞「超未来の日本」「超能力」に興味のある人。
「新世界より(下)」の感想
「新世界より(下)」は、クライマックスということもあり
緊張感、恐怖、絶望、悲しみなど感情が揺さぶられる内容になっています。
勝ち目がないと思われる状況でも、最後まであきらめず立ち向かっていく姿勢が
すごくかっこいいですね。
奇狼丸の戦いにおける心意気
中でも、特にかっこいいのが大雀蜂軍のバケネズミ・奇狼丸。
どんなに絶望的な状況でも、あきらめることなく最後まで
勝てる方法を探し求める奇狼丸。
その闘志を持ち続けることができる精神力はずば抜けていて、
自分自身を信じる力がすごくあると思います。
自分が決めたことをつらぬき通せる、一片の迷いもなく信じられる、ある意味では
奇狼丸はすごく純粋なんだと思います。
皆さんは、諦めが早すぎる。我々の種族は、心臓が鼓動を止める、まさにその瞬間まで、逆転する方策を探し求めます。
それが無駄な努力に終わったところで、失うものはありません。
奇狼丸はたとえ、結果に結びつかなかったとしても、最後まで諦めずに挑戦し続けることが大事だと思っているってことですよね。
なかなかその意志を持ち続けるのは簡単ではないこと。
揺るがない意志、精神力が必要になってくるので、奇狼丸は本当に肉体、精神ともに
強いと思います^^
「新世界より(下)」に登場する料理
「新世界より」にはときどき、食事シーンがあるんですが
そこで出てきた食事を紹介したいと思います。
悪鬼が現れたことを伝えるために、歩いて「神栖66町」に向かっている早季と覚が
途中で、一軒家を見つけて緊急避難をします。その家で
●練った小麦粉
●あり合わせの野菜
●味噌
を材料に、すいとんを作ります。
呪力で瞬間に加熱することができるので、超時短ですね^^
呪力も生活のために使うだけならとても便利な力なんですが。。。
すいとんとは、練った小麦粉と、お肉、野菜などを和風だしで煮込んだもの。
この小説の中では「味噌」が使われています。
緊急避難している最中なので味やボリューム、見た目などよりも
本当に緊急の腹ごしらえで、味に関する描写は特にされていないですね。
●白いご飯
●蕪の漬け物
●白湯
早季と覚が、バケネズミとの戦争の中で態勢を立て直すため
避難した場所で出されたもの。
シンプルかつ、かなり質素なメニュー。
しかし、疲れ切った早季と覚はすごい勢いであっという間に
食べ終わります。
すぐに、二人分のお膳が、持ってこられる。載っていたのは、白いご飯と蕪の漬け物、
それに白湯だけだったが、このときのわたしたちには、どんなご馳走よりも有り難かった。
猛烈な勢いでご飯をかきこむ。気づいたときには、お膳の上は空っぽになっていた。
極限まで疲れ切っていると、すごくシンプルなものでも
おいしく感じられるんでしょうね^^
きれいに食べるとか、ゆっくり食べるとかじゃなく
すごい勢いで食べるところにも、本当に限界だったんだと伝わってくる描写になっています。
早季と覚が、奇狼丸と一緒に東京に行ったときに食べた非常食。
追っ手に見つかる可能性があって、煙をあげるわけにはいかないので
持ってきていた携行食でお腹を満たします。
これも、味よりもただただお腹を満たすためだけのものですね。
兵糧丸は主に、戦国時代に使われていた携帯保存食。
材料はそば粉、鰹節、梅干し、くるみ、クコの実を混ぜてはちみつで固める。
以上が、この小説に出てくる食事メニューでした。
全体を通して、かなり質素で緊急用のイメージが強いですね。
1000年も経っているとは思えないほどのシンプルさです。
ストーリーに直接の関係はないですが、食事メニューに注目してみるのも
おもしろいですね♫
東京の支配者
さて、現代では日本の首都であり、中心地にふさわしく
たくさんの人や物があふれています。
情報の発信地で、流行や物流などの面で最先端の場所だと思います。
それが、1000年後の日本では、東京は人が誰も住まない不毛の大地になっています。
人のいなくなった東京では、たくさんの奇妙な生き物がたくさんいます。
その中でも、東京の支配者と言われているのが、コウモリ。
その数は、約100億匹。
それだけの数のコウモリが洞くつに出入りするため、東京上空を埋め尽くす光景は
圧巻だと思います。
このコウモリの大移動が、作品の中で安全に地上を行き来するときに
利用されていて、ある意味では追っ手から見つかるということから
早季たちを救ってくれた存在です。
まとめ
「新世界より(下)」を紹介させていただきました。
クライマックスにふさわしい緊張感、スリル、たくさんの感情が伝わってくる内容に
なっています。
人間の身勝手な部分を表現しつつも、そうしなければ生きていけない人間の苦しみや
痛みが表現されています。
バケネズミや悪鬼との戦いの結末、これから人間がどんな風に変わり
そのためには何をしなければならないのか?
興味のある方は、ぜひ一度手にとってみてくださいね。
それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。
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